(MTG翻訳記事)スゥルタイミッドレンジ デッキガイド(前半) by Martin Juza
CFBに投稿されていたスゥルタイミッドレンジの解説記事のセルフ翻訳です。
非常に濃密な記事のため、前後編に分けます。MTG_Sultai_Midrange_
元記事
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イントロダクション
数ヶ月前、私はスタンダード環境に於けるベストデッキとして、ゴルガリミッドレンジの記事を執筆しました。(リンク(元サイト):https://www.channelfireball.com/articles/the-best-deck-in-standard-g-b-midrange/
)
新しいフォーマットが定着し、脅威となるカードやその対処方法について確実に知ることが出来れば、ミッドレンジデッキは繁栄します。
このデッキに於ける最大のポイントは、彼女達があなたの脅威をどんなときでも解消してくれる事です―
《ビビアン・リード/Vivien Reid》、《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》はどちらも相手に対して攻め込んでくれる他に、《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》、《宝物の地図/Treasure Map》、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》といった迷惑なカードを除去することで、あなたを守ってくれます。
ラヴニカの献身の追加により、このデッキは新たな兵器を手に入れました。
《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》について紹介しましょう。
まず、もしあなたがこのデッキに於けるパーフェクトなカードを欲したときに、このカードはその理想とはそう離れていない存在でしょう。
《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》はカードアドバンテージ、ライフ増加に於ける安定、《ビビアン・リード/Vivien Reid》の+1能力からサーチ可能、カウンターされても効果が発動が発動されるーといったメリットをあなたに与えてくれます。
マナフラッドが起きることを不可能にだってしてくれます。
《ビビアン・リード/Vivien Reid》は以前よりも素晴らしいカードになりました。《天才のひらめき/Stroke of Genius》をサーチできるのですから。
もちろん、これがもう一つの色を加える全ての理由です。しかし幸運なことに、《繁殖池/Breeding Pool》と《湿った墓/Watery Grave》がこれを簡単にしてくれています。
青を加える事により、対コントロールデッキとのマッチアップ用に《否認/Negate》や《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》をサイドデッキに加える事ができるのもまた、青を加える理由です。
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デッキリスト
では、これがラヴニカの献身でアップデートした、最新のリストです。
土地(24)
4《草むした墓/Overgrown Tomb》
4《繁殖池/Breeding Pool》
4《湿った墓/Watery Grave》
4《森林の墓地/Woodland Cemetery》
3《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》
1《内陸の湾港/Hinterland Harbor》
4《森/Forest》
クリーチャー(23)
4《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》
4《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》
4《マーフォークの枝渡り/Merfolk Branchwalker》
4《翡翠光のレインジャー/Jadelight Ranger》
1《人質取り/Hostage Taker》
2《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra》
4《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
呪文(13)
3《ビビアン・リード/Vivien Reid》
2《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》
3《喪心/Cast Down》
3《採取+最終/Find+Finality》
2《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》
サイドボード(15)
4《強迫/Duress》
2《否認/Negate》
1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
1《喪心/Cast Down》
1《人質取り/Hostage Taker》
3《正気泥棒/Thief of Sanity》
2《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
1《最古再誕/The Eldest Reborn》
このリストはミシックチャンピオンシップ:クリーブランドでの私の現状の最有力候補のデッキです。
沢山のカードが様々な役割を果たし、デッキのバリューを倍増してくれます。
探検クリーチャー達が土地事故を防いでくれます。《ビビアン・リード/Vivien Reid》は確実にこのスタンダードに於けるベストとなりました。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》は十分なカウンタースペルを引き込んでくれます。そして、《採取+最終/Find+Finality》で必要とあらば全てのクリーチャーを一掃することだって可能です。
このデッキは全てをカヴァーしてくれます。
それぞれのカードの選択について、説明させてください。
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各カードの採用、不採用理由
4《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》
4枚以下でプレイしないでください。このカードは最良で、このデッキに完璧にフィットしています。新弾の中で最もインパクトのあるカードなのは明白です。
0《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》
2《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》
恐らく、この点が私のリストに於いて最も質問を受けるポイントであると思われます。
私の解答は至ってシンプルです。
まず、私は《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》が必要であると信じてはいません。
以前は、《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》をキャストし、《採取+最終/Find+Finality》でフォローアップし、フィニッシャーとして仕立て上げる事がこのデッキのプランでした。
4枚の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を有しているこのデッキで、その点を心配する必要はありません。
対コントロールに於いては《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》は素晴らしい対抗手段でしたが、対アグロにおいては非常にまずいです。
《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》はどちらに対しても非常に優れており、飛行とトランプルがクリーチャーの横並びをしている盤面に於いても、速やかにゲームを終わらせてくれます。
一方、《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》はこのような盤面でも優秀です。
《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》ではコントロールに対してでしか有効ではありませんでしたが、《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》はどちらに対しても有効に働きます。特にミラーでは素晴らしいです。
盤面がイーブンな状態で忠誠度8で海賊トークンが場に出ている時に、対戦相手が直ちに《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》を処理する方法を有していない場合、ゲーム終了です。
相手の《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を複数体破壊できる点も非常に優秀で、ミラーに於けるキーカードにもなります。
《アズカンタの探索/Search for Azcanta》、《トカートリの儀仗兵/Tocatli Honor Guard》、《宝物の地図/Treasure Map》、《実験の狂乱/Experimental Frenzy》、そして《パルン、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Parun》といった厄介なカードを無傷で処理することも可能になります。
《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》が前シーズンで非常によかった為、皆さんは《殺戮の暴君/Carnage Tyrant》を抜くことに恐れているように思いますが、試していただければさほど重要な問題ではないことを理解していただけると思います。
唯一の欠点は《秘宝探究者、ヴラスカ/Vraska, Relic Seeker》を《ビビアン・リード/Vivien Reid》で見つけてくることができない点ですが、私はあまり気になりませんでした。
もう一つよく頂く質問が、「なぜどっちも一緒に使わないの?」です。
4枚のハイドロ、2枚のヴラスカ、3枚のビビアン、3枚の採取最終・・・単純に、高コストのカードがデッキに多数入っています。
これは私が《破滅を囁くもの/Doom Whisperer》を使わなかった理由でもありますが、マナカーブがかなり高くなってしまいます。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》なら問題ないですけどね。
3《喪心/Cast Down》
私はこのカードが新弾においてとんでもなく優秀になったカードだと信じています。
現環境で除去したいキーカードは、《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》、《プテラマンダー/Pteramander》《奇怪なドレイク/Enigma Drake》《弾けるドレイク/Crackling Drake》、《野茂み歩き/Wildgrowth Walker》、《人質取り/Hostage Taker》、《正気泥棒/Thief of Sanity》、《遁走する蒸気族/Runaway Steam-Kin》、《ベナリアの軍司令/Benalish Marshal》、《大嵐のジン/Tempest Djinn》、《拘留代理人/Deputy of Detention》、そして《門破りの雄羊/Gatebreaker Ram》《門の巨像/Gate Colossus》です。
私が思いつく《喪心/Cast Down》で倒せない伝説のクリーチャーは《災いの歌姫、ジュディス/Judith, the Scourge Diva》、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》、《正義の模範、オレリア/Aurelia, Exemplar of Justice》ですが、いずれも今の環境ではあまり見かけません。
0《暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy》
トロフィーはどんなパーマネントに対してでも唱える事ができるので、相手ターン中に構えられる非常に優秀な除去スペルですが、相手に土地を与えてしまうために早期に大きいコストのカードを唱えられた場合の大きなリスクを抱えないといけません。
以前は、《議事会の裁き/Conclave Tribunal》や《実験の狂乱/Experimental Frenzy》といったトロフィーの有効なカードが多数存在しましたが、このデッキには2枚のヴラスカが存在しているのと、それらのカードは現環境ではあまり見かけません。もし《悠長な再構築/Patient Rebuilding》と《実験の狂乱/Experimental Frenzy》がもっと増えるのであれば、トロフィーを75枚の中に戻してもいいかもしれません。
0《培養ドルイド/Incubation Druid》
最初の印象では、このドルイドは4枚のハイドロを有するこのデッキに非常にフィットすると感じましたが、実際はそう思うようではありませんでした。そもそも、4枚の《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》と24枚の土地を合わせて、28枚のマナソースを持っているのに加えて、8枚の探検クリーチャーも存在します。それ以上マナクリーチャーを加える余裕はありません。
5マナを支払って順応3をするタイミングでは、《ビビアン・リード/Vivien Reid》の様な他のアクションがあります。このカードは非常に遅い上に隙だらけで、2ターン目でしか有効ではありません。しかもその2マナにはより良いアクションがあります。あなたがラノエルやドルイドをプレイしたかったとしても、2枚ほどデッキから減らした方がよりデッキが良くなると判断しました。
0《ゴルガリの女王、ヴラスカ/Vraska, Golgari Queen》、0《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
このデッキにはすでに4枚のハイドロと5枚のプレインズウォーカーが入っていますので、赤単やロード入りのアグロデッキに対してこれ以上プレインズウォーカーを増やすのは有用ではないと判断しました。コントロールが多ければ、カーンはサイドボードにいれてもいいかもしれません。
0《愚蒙の記念像/Memorial to Folly》
今でも0枚か1枚かで悩んでいます。《内陸の湾港/Hinterland Harbor》や《水没した地下墓地/Drowned Catacomb》をアンタップでプレイしたいですが、ミラーマッチの可能性を強く見た場合、カードのスロットを圧迫することなくバリューを上げることの出来る《愚蒙の記念像/Memorial to Folly》は有効です。
ですので、メタゲームをどのように分析するかによって分かれます。アグロデッキの場合、アンタップランドを。スゥルタイミラーやコントロール戦の場合は、《愚蒙の記念像/Memorial to Folly》を選択するのがいいと思います。
1《人質取り/Hostage Taker》、2《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》、2《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra》
これらのカードはメタゲームの分析から割り当てられています。
《人質取り/Hostage Taker》は《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》を奪って自分がそのまま召喚してしまえるので、ミラーマッチにおいて非常に素晴らしいです。しかし、赤単のような小型のクリーチャーだったり、CIP能力を多く有するデッキに対してはあまりよろしくありません。
それらのデッキに対しては《貪欲なチュパカブラ/Ravenous Chupacabra》が有効ですが、《再燃するフェニックス/Rekindling Phoenix》や《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を有するコントロールに対しては《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》を構える必要があります。
ですので、あなたのメタゲームの分析に基づいて、自由に配分してみるのがいいと思います。
0《真夜中の死神/Midnight Reaper》
もう一度いいます。《ハイドロイド混成体/Hydroid Krasis》は今、このカードと同じ仕事をしています。
死神はデッキの潤滑剤として動いていましたが、最近では赤単が流行しています。抜いてハイドロに噛み合うカードを入れた方が良いでしょう。
死神は《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》有するジェスカイコントロールに対して先に置いておくのが素晴らしいですが、最近はほぼ見かけません。
2《否認/Negate》、1《軽蔑的な一撃/Disdainful Stroke》
エスパーコントロールやターボネクサスに対しての素晴らしいサイドボードです。《ケイヤの怒り/Kaya's Wrath》、《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》、《運命のきずな/Nexus of Fate》に対して2マナで対抗出来るのは、莫大なテンポを得られます。
3《正気泥棒/Thief of Sanity》
私はこのカードが今まで最も有効活用されてこなかったカードだと思っています。
どんなゲームでも3マナで勝ててしまう可能性があります。2ターン目に《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves》の力を使って出してしまうのが最も理想です。ミラーやコントロール戦でのベストカードだと思います。奴らの《思考消去/Thought Erasure》、《吸収/Absorb》、《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》を消し去ってやりましょう。
2《打ち壊すブロントドン/Thrashing Brontodon》
《悠長な再構築/Patient Rebuilding》に対するしっかりとした解答であり、タフネスが4の為、全てのバーンカードが3点の赤単に対する良いブロッカーです。《実験の狂乱/Experimental Frenzy》も殺せるしね。
12の青マナ
初期の段階では10枚で回していましたが、あまり心地よくありませんでした。特に3枚の《正気泥棒/Thief of Sanity》と青のカウンター呪文をサイドボードに入れているため、12枚が最低のラインだと思います。
(ここまで。非常に濃密な記事の為、サイドボード解説は後半に分けます。)
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個人的まとめ
全てのカードに非常に明確な理由が記載されているのがとても素晴らしいと思いました。最初のパートにも記載されていましたが、意味と対処を正確に理解していれば、自由に組み替えることも可能だというメッセージにも捉えられると思います。
死神なんかは《轟音のクラリオン/Deafening Clarion》に対して有効だけどジェスカイ減っている~とありますが、クラリオンと《燃え立つ門/Gates Ablaze》を有するギルド門コントロールがもっと流行るなら十分に採用の理由になると考えられます。
今回読んで非常に為になったポイントをまとめると、
- 明確な仕事を持つカードを採用する。また、中途半端に仕事の被るカードを入れない。(バリューが下がる為)
- 環境をしっかりと分析する。どんなに強力なカードでも、環境に合っていないとバリューが下がる。
- 最大のポイントとなるカードや動きに焦点を当てて、その本筋への道筋やフォローをしっかりとする
と、筆者は捉えました。
攻略、解説記事がとても豊富なところが非常に素晴らしいと感じたことが、MTGに手を出した切っ掛けでした。
中でも、英語の翻訳記事は非常に濃密で、楽しい記事が沢山あり、自分も翻訳記事をしてみたいなという願望は前からあったのですが、さすがに原文で全部読み切る自信がなかったので手をつけずにいました。
ところが今使っているスゥルタイミッドレンジの記事を探しているうちにこの記事にたどり着き、大まかにですが最後まで読み切ったので、それなら折角だしと思い翻訳記事を書いて見ました。
英語力に特別自信があるわけではないので、意訳でごまかしている部分も多くなってしまいましたが、MTGの発展に貢献できるのであれば、これからも気になった記事を翻訳していこうかなと思っています。